2021年2月23日
京都には神社仏閣などの歴史的建造物が数多く存在しておりますが、実はこれらと同じぐらいに価値のある町家が取り壊されている現実をご存知でしょうか?
町家の取壊し件数は年々増加傾向にあり1年で最大約800軒の町家が取り壊された年もあるほどです。
平成20年から平成22年の間で確認できた町家は約47000軒程となっており、このペースで取り壊されていくと町家が京都から無くなる日はそう遠くないでしょう。
町家が取り壊される理由としては老朽化した箇所の補修ができなかったり、居住者が高齢のため住むには広すぎたり亡くなってしまいそのままオーナーが不在になってしまったりなど様々な理由があります。
その他にも町家はnao炬乃座(なおこのざ)のような宿泊施設や、カフェ、飲食店なども多く存在しております。
しかし今はご存知の通りコロナウィルスの影響で営業や維持が出来なくなっている方々も多いのです。
消えゆく京都の歴史を守る為にお店としてだけではなく本来の家としての活用していく方法が今注目されつつあります。
しかしこの現代で町家に住むことは可能なのでしょうか?
町屋が古民家であることで不安に思う方が多数ではないでしょうか?
温度や湿度、昨今では災害時の心配もあり様々な悩みを抱えて居住する場所を決めなければいけません。
しかし町屋は古い建物ではあるものの過去の災害を全て乗り越えて現存しているという実績があります。
そして昔ながらの建築法により実は家電に頼らなくてもある程度の快適性を得る事も町家は可能にしているのです。
特に京都は気温の変化や湿度の高いのですが、そんな環境の中で町家は建築されております。
そこで夏は風の入りやすい調湿のできる建物の造りになっていたり冬は襖や部屋を何枚も多く隔てる事で熱をなるべく逃がさないようにしていたりと、その時代の快適性を考えて作られています。
更にそこからエアコンやコタツなどの家電でもう少し快適にしたり、気になる箇所をリフォームしたりする事で問題なく住むことができます。
耐震補強などのリフォームについては京都市の取り組みにより一部補助金もあるとのことですのでただの中古物件や新築住宅を購入するよりも予算的な意味合いで実はコスパが良くなります。
そうやって京都の町家に住む方が増えれば取り壊す必要も無くなりますし京都の歴史と文化が新しい形で守られていくのです。
ちなみに町家に住む際のデメリットですが、ピカピカの洋風なきれいなお家というわけにはいきません。
古民家ならではの味を理解するのが難しいなら無理に住むのはストレスとなるでしょう。
そしてよく上げられる気温や湿度の問題はエアコンなどの家電によりほぼ問題なくなりますし、近所付き合いなどは町家に住む事とは関係なく京都にいる限り発生しますのでデメリットとは言えないでしょう。
居住地を探すのに防犯上の問題も悩みの種です。
特に町家は建物の造りがコンクリートや鉄筋ではなく木造なので強盗が心配という方も多いでしょう。
もちろん鍵を強固にしたりなどのある程度の補強は必要ですが、町家の特徴として家と家が隣り合っている場合が多いのです。
挨拶程度でもいいので近所の方々とある程度の付き合いがあればそれが監視の目となり防犯効果となり、強盗にとってやりづらい環境となります。
煩わしいと思われる人付き合いですが、こんな時代だからこそ助け合って個ではなくその町内で防犯の意識を高めておくことで防犯上の大きなメリットとなります。
別邸 梅小路
ここまでご拝読頂き、誠にありがとうございます。
町家に住むという事が町家を守る事に繋がります。
もしこの記事が京都の町家に興味があり、本当に住んでみたいという方々へのお役に立てれば光栄です。
初めにお話ししました通り、町家はどんどんと取り壊されています。
そんな中であなた様にピッタリな立地と状態の町家はあまり多くはありません。
急かすつもりはありませんが、選択肢がどんどんと取り壊されていっている以上は少し早めに町家を見に行く事をオススメ致します。
そしてもしピッタリの町家と出会えた時には住みやすい環境に町家を造り替えていただき長く快適にお過ごしいただければ幸いでございます。
そうすれば町家は守られていくことになるのでそれは京都の歴史と文化を守り続けていく事となります。
もちろんお店として営業でも同じ事です。
お互いに京都(町家)の歴史と文化を守り、共存していければと思います。
これを機会に普通の新築や中古物件を買うという選択肢以外にも京都の町家や京都の人々と一緒に新しい生活様式を作り上げる事もご検討くださいませ。
何卒宜しくお願い致します。