Posts > 京町家の条例がある?

京の宿日記

京町家の条例がある?

Sunday September 26th, 2021

Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

坪庭
 
 

現在の京町家に関しての問題点

京町家が抱えている問題は決して少なくありません。

その問題の多くが保全や継承に関する問題に起因していく傾向が見られます。

空き家問題や管理人の高齢化問題により京町家の有効性を見いだせないでいると京町家のメンテナンスをする事が難しくなります。

その為、経年劣化による京町家の倒壊の危険などによりニュースや新聞などのメディアにより「京町家の取壊し」という題材が上がるのです。

上記の件から文化遺産として貴重である事は間違いない京町家ですが、それらは保持するだけでは減少する傾向にあるというのはお分かり頂けるかと思います。

京町家の存続は私共も強く希望する事ではありますが、ただそこにあればいいというわけでは決してありません。

有効性をしっかりと認知して頂き、現代に必要とされながらも歴史と文化的に価値のあるものでなければこの問題はいつまでも解決しないでしょう。

もちろんこの問題は簡単に解決できるものではありませんが、私共のように京町家を宿として活用したりカフェや本屋さんなどの古都京都ならではの有効的な存続方法はどんどん増えております。

こうして京町家のコンセプトを日本や海外で発信し続ける事で京町家のブランドを育て、守る事が問題解決の糸口になるのではないでしょうか。

 
 

京町家の条例に基づく指定区域

京町家の条例には指定区域があり、こちらの区域の初めは平成30年頃からスタートしております。

同年の8月31日に先斗町京町家保全継承地区として京都では有名な飲み屋街の「先斗町(ぽんとちょう)」が指定区域となっております。

全体の指定区域は以下の通りです。

指定区域一覧

項番 地区名 指定年月日
1 先斗町京町家保全継承地区 平成30年8月31日
2 祇園縄手・新門前京町家保全継承地区 平成30年10月15日
3 祇園新橋京町家保全継承地区 平成30年10月15日
4 万寿寺通(東洞院通から寺町通まで)京町家保全継承地区 平成30年12月28日
5 紫野郷之上町,紫野上柏野町,紫野下柏野町,紫野中柏野町京町家保全継承地区 平成31年3月25日
6 膏薬辻子京町家保全継承地区 令和元年5月31日
7 姉小路界わい京町家保全継承地区 令和元年7月19日
8 祇園町南京町家保全継承地区 令和元年10月10日
9 上京北野京町家保全継承地区 令和元年11月1日
10 職住共存京町家保全継承地区 令和2年3月6日
11 西京樫原京町家保全継承地区 令和2年10月30日
12 千両ヶ辻京町家保全継承地区 令和2年10月30日
13 本願寺界わい京町家保全継承地区 令和3年5月31日
14 東寺界わい京町家保全継承地区 令和3年5月31日
15 伏見南浜京町家保全継承地区 令和3年5月31日

以上が現在の京町家の条例に基づく指定区域となっております。

京都市のHPを見てみると指定予定の地区というリンクがありました。

現在、予定の地区はないとされていましたが、今後も新たに町家の多い地区からの要望があれば増える可能性もあるみたいですね。

このようにしっかりと指定区域がございますので今後も新たに更新されればチェックしていきたいと思います。

また個別の建物での指定もございます。

もしお住まいのお家が京町家である場合や、管理している建物、身内が所持している建物が京町家であるのなら京町家の相談窓口を利用する事をおすすめ致します。

京都市:「京町家相談員」について

こちらで京町家の指定区域に関する相談事を行ってもいいのですが、保全や継承自体のマッチングを行ってくれたり、どうしても京町家の解体を行いたいという事であればその相談にも乗ってもらう事ができます。

その他にも何か京町家関連でお悩みがございましたら、京町家相談員という専門のスタッフがおりますのでそちらで詳しくご相談頂けます。

 
 

今後京町家はどうなっていくのか?

時代が進み古いものや文化がどんどん淘汰されていくようになっていく昨今では京町家は間違いなく減少していくでしょう。

しかしそれは従来通りに何もしなければという前提であればの話です。

変わりゆく時代の中では京町家という文化ですら上手く変わっていかなければ現在のようにどんどん京町家は居場所を失っていきます。

それが良いこととか悪いことではなく、そういう流れが世の中にはあるというのは知っておくべきではないでしょうか。

その中で時代と個人が折り合いを付けて納得できる形で世に残ればいいと考えております。

全く形が変わってしまうというのは少し躊躇してしまいますが、そこも少しずつ折り合いを付けていければと思います。

ただただ有効活用出来ずに取壊しとなってしまうよりかはだいぶとマシでしょう。

バーチャルや文献だけで残る文化や歴史だけではなく実際に体験する文化や歴史も必要なのでそういった意味ではしっかりと京町家を残していければと今後も京町家の存続に尽力していきたいと思います。

もしあなた様も京都にお越しの際は京町家がどのように有効活用されているかという視点から京都をふらりと観光して頂ければまた違った京都をお楽しみ頂けると思います。

そして取壊しが決定していたり以前京町家のあった場所が新しいお店や住居になっている事も多いので以前京都にお越し頂いた方であればそういった風景の変化にもお気付きいただければ幸いです。

繰り返しになりますが、京町家が皆様と時代にしっかりとニーズを持ったまま今後も京都に在り続ける事が私共の望みです。

ここまでご拝読頂き誠にありがとうございました。